資金調達トップ10:治療薬とAIが景気減速下でも主導
この1週間で、ベンチャーキャピタル業界は顕著な変化を見せました。最近見出しを飾っていた「メガラウンド」の急増は、明らかに一休みしたようです。著名なAIユニコーンへの巨額資金調達の噂は依然として飛び交っていますが、8月9日から15日の間に正式に締結されたものはありませんでした。しかし、この期間が決して静かだったわけではなく、治療薬、企業向けソフトウェア、希土類磁石、そしてもちろん人工知能といった多岐にわたる分野で大規模な取引が発表されました。
ヘルスケアおよびバイオテクノロジー関連企業は特に強さを示し、多額の資金を呼び込みました。カリフォルニア州バレンシアに拠点を置くSetPoint Medicalは、関節リウマチやその他の自己免疫疾患に対する革新的な治療法を開発しており、1億4000万ドルという巨額の資金を確保し、トップに立ちました。この金額には、Elevage Medical TechnologiesとAlly Bridge Groupが主導する1億1500万ドルのシリーズDラウンドと、シリーズCの2500万ドルの第2トランシェが含まれています。関連する医療機器開発では、マサチューセッツ州ミルフォードのReprieve Cardiovascularが、急性非代償性心不全の治療に注力し、Deerfield Managementが主導するシリーズB資金で6100万ドルを調達し、重要な臨床試験の推進に充てられる予定です。女性の健康分野も活況を呈し、テキサス州オースティンに拠点を置くGametoは、生殖医療や更年期関連症状のための幹細胞由来療法を研究するスタートアップで、Overwater Venturesが主導する4400万ドルのシリーズCラウンドを完了しました。さらに、神経変性疾患における認知機能障害に対処するための独自の長寿タンパク質に取り組むJocasta Neuroscienceは、True Venturesが舵を取り、3500万ドルのシリーズA資金を確保し、この分野の広範さを示しました。
企業向けソフトウェアとAI分野は引き続き多額の投資を引きつけ、各産業におけるデジタル変革の進行を反映しています。ニューヨークに拠点を置くTitanは、ITサービス向けのAI対応ツールを専門とするスタートアップで、General Catalystから7400万ドルを獲得しました。この取引は、金融セクター向けのITおよびサイバーセキュリティサービスプロバイダーであるRFAの買収と同時に行われた点が注目されます。デジタルIDの分野では、ニュージャージー州アイゼリンの1Kosmosが、パスワードレス認証ソリューションのパイオニアとして、1000万ドルの信用枠を含む5700万ドルのシリーズB資金を調達しました。株式投資はForgepoint CapitalとOquirrh Venturesが主導し、Bridge Bankがデットファイナンスを提供しました。ダラスに拠点を置くFieldPulseは、フィールドサービスチーム管理用のモバイル最適化ソフトウェアプロバイダーで、事業が前年比で倍増し、Fulcrum Equity Partnersが主導する5000万ドルのシリーズCラウンドを完了しました。サンフランシスコに拠点を置く2つのAIスタートアップも大きな進歩を遂げました。XOpsは、Activant CapitalとFPV Venturesが共同主導する4000万ドルの資金を携えてステルスモードから脱却し、IT業務の自動化を目指しています。一方、製造業のタスクを自動化するソフトウェアを開発するSquintは、The Westly GroupとTCVが共同主導する4000万ドルのシリーズBを完了しました。
これらの主要分野以外にも、より専門的な技術も多額の支援を確保しました。ノースカロライナ州ダーラムのVulcan Elementsは、希土類磁石のメーカーで、2億5000万ドルの評価額で6500万ドルのシリーズA資金を調達しました。Altimeterが同社の資金調達を主導し、同社はすでに軍に磁石を供給する契約を結んでおり、その技術の戦略的重要性を示しています。特に先進的な投資として、ニューヨークに拠点を置くProfoundは、人間消費者ではなくAI「超知能」を対象としたマーケティングプラットフォームのために、Sequoia Capitalが主導するシリーズBラウンドで3500万ドルを調達しました。これは、将来の商業化における未熟ながらも興味深い分野を示唆しています。
今週の資金調達活動は、市場が注目を集める大型取引から一息ついている間も、米国各地の革新的な企業へのベンチャーキャピタルの継続的かつ堅調な流れを強調しています。焦点は、健康、企業効率、そして人工知能の絶え間なく拡大する応用における進歩にしっかりと置かれており、派手さはないものの健全な投資状況を示しています。