FuriosaAI、次世代AIチップ量産拡大へ1.25億ドル調達
韓国ソウル — AIコンピューティングに特化した半導体企業 FuriosaAI は、1億2500万ドルのシリーズCブリッジファンディングを成功裏に完了しました。この重要な投資は、次世代AI推論チップ「RNGD(レネゲード)」の量産を加速し、グローバル展開の取り組みを支援することを目的としています。この資金調達により、同社の総調達額は2億4600万ドルに達し、FuriosaAIの評価額は約7億3500万ドルとなります。
今回の投資は、高性能でエネルギー効率の高いAIインフラに対する世界的な需要が急増している時期に行われました。FuriosaAIは、従来のGPUベースのAIアプリケーション用ハードウェアにしばしば関連する、持続不可能な電力消費、高い運用コスト、インフラの制約といった喫緊の課題に対処することを目指しています。CEO兼共同創設者のJune Paik氏は、環境的にも経済的にもAIを真に持続可能なものにするという同社のコミットメントを強調しました。
FuriosaAIの最近の勢いの主要な要因は、LG AI Researchとの大規模な設計採用(デザインウィン)です。LG AI Researchは、厳格なテストの結果、RNGDチップがGPUと比較してワットあたりの大規模言語モデル(LLM)推論性能で2.25倍優れていることを示したため、そのEXAONE基盤モデルにFuriosaAIのRNGD AIアクセラレーターを採用しました。2025年7月に発表されたこの提携は、AIチップ市場、特に韓国のAIエコシステム内で、Nvidiaのような支配的なプレーヤーに対する魅力的な代替としてFuriosaAIを位置づけています。LG AI Researchは、EXAONEモデルを利用する企業にRNGDを搭載したサーバーを提供する予定です。
RNGDチップは、わずか150ワットの熱設計電力(TDP)で設計されており、計算量の多いAIモデルを用いたデータセンターでの推論において高い電力効率を目指しています。ネイティブのPyTorch 2.xをサポートし、256/512/1024 TOPS(BF16/FP8またはINT8/INT4)を提供します。このチップはSKハイニックスのHBM3メモリを搭載し、TSMCの5ナノメートルプロセスで製造されており、LLMおよびマルチモーダル推論ワークロードにおいて高い性能と効率を保証します。
成長と技術開発をさらに強化するため、FuriosaAIは戦略的に経営陣を強化しました。KAIST出身の並列システム専門家であるJeehoon Kang氏がチーフリサーチオフィサーとして加わり、コンパイラおよびソフトウェアアーキテクチャを統括します。さらに、元サムスン電子のシリコンおよびSoC専門家であるYoungjin Cho氏がハードウェア担当副社長に任命され、同社のチップ開発を加速させます。
世界のAI推論チップ市場は爆発的な成長を遂げており、2025年には150億ドル、2033年には約750億ドルに達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は25%と堅調です。この急増は、エッジAI導入の普及、深層学習モデルの進歩、そして自動運転車、ヘルスケア、スマート製造などの様々な分野でのAI採用の増加によって推進されています。より広範なAIチップ市場は、2024年から2029年の間に9026億4000万ドル成長し、驚異的なCAGR 81.2%で加速すると予測されています。半導体業界全体が大きな変革期を迎えており、AIは成長の強力な触媒として、高性能コンピューティング、メモリ、カスタムシリコンの需要を牽引しています。この傾向は、環境への影響と運用コストを最小限に抑えるためのエネルギー効率の高い設計への注力につながっています。
FuriosaAIが独立を保ち、その使命を追求するという決断、さらには2025年初頭にMeta Platformsからの8億ドルの買収提案を拒否したことは、その専門ハードウェアでAIコンピューティングを革新するというコミットメントを強調しています。新たな資金調達により、FuriosaAIは世界の企業顧客向けにRNGDの量産を加速し、次世代チップの基盤を築き、AIのより持続可能でアクセスしやすい未来に貢献する態勢を整えています。